ケイト・ヴァン・ホーテン 《開錠》

ケイト・ヴァン・ホーテン 《開錠》《 猫の眼差し 》2017 ステアタイト 34 x 16 x 14 cm


近代社会は、特に女性にとって以前とは比べようのない多様な生き方や価値観を育みました。女性というジェンダーの固定概念は薄まり、女性が活躍する時代と謳われる現代ですが、その背景には、様々な歴史、光と影があります。ギャラリーヤマキファインアートでは今までも女性アーティストの個展を数多く開催してきましたが、それぞれの作家との関わりを通して、必ずしも女性アーティストたちが正当な評価を受けてきたわけではないこと、彼女たちがアーティストとして自立するには多くの制度的・社会的・観念的な壁を乗り越えねばならなかったことを実感しました。一方で、彼女たちは、そのような不遇に対しても距離を置きながら独自に新しい表現を希求して、あきらめることなく発表の場を模索し、不屈の精神で様々な手法やスタイルを追究し続けてきたことも知りました。

こうした女性たちの時代背景や表現を振り返り、また「今」の女性ならではの表現を制作する若手作家にいたるまでの道程を問い直すことで、女性アーティストとその作品の評価がどのように行われてきたのか、そして彼女ら自身の意識はどのように変わってきたのか、美術と女性、それらを取り巻く社会的状況をふまえながら考察を深めてまいります。その第6弾となる本展では、ケイト・ヴァン・ホーテンを紹介いたします。

ヴァン・ホーテンはアメリカに生まれ、パリを拠点に多岐にわたる活動を行ってきました。初期の絵画作品においては、ミシン糸を用いた抽象画や風景画に始まり、ドローイングや版画など多様な表現方法を実践してきました。具象か抽象かにこだわらず自由な活動を行ってきた彼女は、青と黄によるパワフルな抽象画の作品群を経て、1990年代には石の彫刻作品へと新境地を開きます。自然界の物質から見いだされるフォルムに魅せられた彼女の彫刻は、そのなめらかで有機的なフォルムによって、自然のもつ太古の歴史と、そこはかとない優美さや艶を感じさせるものです。このように一見すると多様な側面を持つヴァン・ホーテンの活動には、自然と物質への興味が一貫して流れています。彼女自らの感情を通して自然が根源的にもつ響きへと接近することこそは、彼女の制作における信念なのであり、だからこそ彼女の平面作品と立体作品とは、一つの空間の中で互いに調和しあい、ひとつの宇宙を生み出すのです。人間精神と自然界、両者がもつ静なるものと動なるもの。その両面が繋がることではじめて、彼女の制作における姿勢は真に理解されるのではないでしょうか。

特定のメディウムに固執することなく、かえってそれらを横断することによって、その想像力を最大限に展開させるヴァン・ホーテン。本展では彼女の制作の軌跡を辿ることで、彼女の活動の真髄をより多くの方々にお伝えできれば幸いです。


【主な個展】
2012「もうひとつの地平線」アメリカ大学(パリ)
LADSギャラリー(大阪)
2015JARFO(京都)
2017フリードリヒ・ミュラー画廊(フランクフルト)
【作者情報】
ケイト・ヴァン・ホーテン
会期2017年10月13日(金) - 2017年11月10日(金) 休廊日 : 日・月曜日
回廊時間11:00 - 13:00 / 14:00 - 19:00
会場ギャラリーヤマキファインアート
所在地〒 650-0022 神戸市中央区元町通 3-9-5-2F
問合せTEL: 078-391-1666  FAX : 078-391-1667  MAIL: info@gyfa.co.jp
アクセスJR ・阪神 元町駅 西口より徒歩 1 分
料金無料