ジャン・ル・ギャック「1968-2016」

ジャン・ル・ギャック「1968-2016」ジャン・ル・ギャック《メッセージ9》 2010年 絵画、写真、テキスト  絵画(87×106 cm)、写真・テキスト(各34×25 cm)

1936年南仏生まれのル・ギャックは、はじめ伝統的な絵画表現を志しながらも、60年代の終わりごろから絵画や写真、文章を組み合わせた作品を発表。それらの作品はヨーロッパを中心に注目を集め、1972年には「ヴェネツィア・ビエンナーレ(フランス館)」(ヴェネツィア・イタリア)や、「ドクメンタⅤ」(カッセル、ドイツ)での“個人的神話”をテーマとしたセクションに選出されました。そこで出品されたのはル・ギャックの出発点である、画家についての架空のドキュメンタリーを小冊子に写真と文章で構成した作品で、この時代に問われた“絵画”について独自の方法を模索しました。

ル・ギャックは画家自身の家族や家族が揃って過ごすヴァカンスの状況を設定し、プライベートを描いた絵画や撮影した写真に、虚構の文章を付け加えていきました。彼は、“絵画”を制作する画家という伝統的な意味での画家像が過去のものとなった時代において、“画家”のフィクションを提示することで、絵画とは何か、画家とは何か、を問い直そうと試みています。そのフィクションは、彼が好んだアラン・ロブ=グリエやホルヘ・ルイス・ボルヘスなど、実験的でミステリアスな文学の影響を受けています。ル・ギャックによって与えられた絵画や写真、文章を手がかりに、観客は自ら推理しながら物語を構築してゆくことを求められます。しかしそれらの手がかりは真実らしく見せかけた虚構であり、一見ル・ギャックの自伝的な物語と思わせつつ、実は架空の画家像を観客の中で作り上げます。これらのル・ギャックの表現方法を同時代のなかで回顧してみれば、コンセプチュアルアートの動向と呼応するものであると位置づけられるでしょう。またフランス国内に目を向けてみればクリスチャン・ボルタンスキーやアネット・メサジェ、ソフィ・カルらと比較し語られるべき作品でもあるでしょう。日本国内ではなかなか紹介される機会に恵まれていませんが、それらの作品はポンピドゥー・センター(パリ、フランス)、ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界の主要現代美術館に収蔵されています。

ギャラリーヤマキファインアートでの個展開催は、2007年、2011年に引き続き3回目となります。本展は、1960年代に制作された貴重な初期の小冊子に写真と文章で構成したインスタレーション作品や、2010年代の絵画と写真で構成した近作を中心に約10点をご紹介いたします。ル・ギャックのキャリアにとって最も重要な作品を含む本格的な展覧会は、今回が日本国内で初めての機会です。現実と虚構が交錯するル・ギャックの作品は、見るものの想像力と疑いのまなざしによってより豊かになっていくことでしょう。


会期2017年01月21日(土) - 2017年02月18日(土) 休廊日 : 日・月曜日
回廊時間11:00 - 13:00 / 14:00 - 19:00  [最終日は17:00まで]
会場ギャラリーヤマキファインアート
所在地〒 650-0022 神戸市中央区元町通 3-9-5-2F
問合せTEL: 078-391-1666  FAX : 078-391-1667  MAIL: info@gyfa.co.jp
アクセスJR ・阪神 元町駅 西口より徒歩 1 分
料金無料