狗巻賢二「Study Umber…。」

狗巻賢二「Study Umber…。」《Burnt sienna, Raw umber》2019, 100x80.3cm, カンバスに油彩

このたびギャラリーヤマキファインアートでは、狗巻賢二「Study Umber…。」を開催いたします。狗巻賢二は1943年大阪に生まれ、ガラスを立てかけたように見える糸の作品や、針金による立体作品によって、70年頃に一躍注目を集めました。ミニマル・アートを日本の風土に根ざして解釈、構成した作品は、「第10回日本国際美術展:人間と物質」(1970年/キュレーション:中原佑介)や「第8回パリ青年ビエンナーレ」(73年)に出品されるなど、もの派に比肩する重要な指針のひとつとして高い評価を得てきました。70 年代半ばからは平面で発展的に思考を重ね、方眼紙の方形を色鉛筆で塗り分ける作品や、墨壷でグリッドを描いた作品、カンヴァスに白色の絵具を厚く塗り重ねた《ある種プリミティヴな観念的時空》シリーズなど、ミニマルでありながらもゆらぎを感じさせる独創的な作品が生まれました。美術評論家の中原佑介に「線主義」と呼称されたように、狗巻は一貫して「線をひく」という単純な行為の繰り返しが結果=表現としてあらわれる作品を制作し続けています。 「umber(アンバー)」とは、土壌に由来する褐色の顔料のことを指します。最新作《Burnt sienna, Raw umber》(2019)は、黄褐色(sienna)と赤褐色(umber)という二種類の褐色の線を、狗巻が長期間にわたり黙々と重ねたことで生み出された作品です。ひとつひとつの線は、かたちや意味が生じることがないように、周到にあるいは気取らずに画面に置かれていきます。次第に線はキャンバスの上で重なり合って色彩の陰影をつくり、作者の意図を離れて律動をはじめます。さらに、画面を垂れていく絵具は、禁欲的な制作態度とは対照的に、万物の流動を感じさせる表現主義的な印象を見る者に抱かせます。現代を鋭く見つめる狗巻は、素材や技法を変化させながら、「人間と物質」の今日的な関係を本作で提示しようと試みています。 弊画廊での前回展(2015)から4年ぶりとなる本展では、大胆かつ繊細な線が何層にも重なって響き合う絵画作品を中心に展覧いたします。素材と色彩との新たな対話を見せる作品群を、是非この機会にご高覧くださいませ。(鈴木和寛)


【主な個展】
1969「狗巻賢二個展」ギャラリー16(京都)('69,'74,'80)
1973「狗巻賢二展」信濃橋画廊(大阪)
1973「狗巻賢二展」松村画廊(東京)('74,'78,'82,'85,'86,'90,'93,'95,'99)
1975「狗巻賢二展」東京画廊(東京)('79)
1987「狗巻賢二展 いろどる」INAXギャラリー大阪
1996「京都の美術 昨日・きょう・明日18 狗巻賢二の仕事」京都市美術館
1996「狗巻賢二展-痕跡として形を成す-」INAXギャラリー2(東京)
2014「狗巻賢二-新作展」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)(2015,'19,'22)
2022「狗巻賢二 '22 Study」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)

【主なグループ展】
1969「概念的空間展」信濃橋画廊(大阪)('73)
1968「京都アンデパンダン展’68」京都市美術館(京都)('69,'70,'71,'73,)
1968「次元'68展」京都市美術館(京都)
1968「第1回茨木現代美術展」茨木市大会議室教育委員会賞(第3席)
1968「ニュー・ジオメトリック・グループ展」 ギャラリーヤツイ(大阪)
1968「ニュー・ジオメトリック・グループ国内展」 東京セントラル美術館    (巡回)オークランド美術館(アメリカ'69)
1969「第9回現代日本美術展」東京都美術館 (東京)(巡回)京都市立美術館(京都)
1969「第1回現代国際彫刻展」 コンクール審査明治神宮絵画館(東京)
1969「第1回現代国際彫刻展」 箱根彫刻の森美術館(神奈川)
1969「美術という幻想の終焉展」 信濃美術館(長野)
1969「現代美術の動向」 京都国立近代美術館
1970第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ)「人間と物質 Between Man and Matter」、東京都美術館を皮切りに京都市美術館、愛知県美術館、福岡市文化会館を巡回
1970「1970年8月 現代美術の一断面展」 東京国立近代美術館(東京)
1970「幻想のインテリア展」神戸市サンボー・ホール(兵庫)
1970「20人の方法展」信濃橋画廊(大阪)
1970「毎日選抜美術展」大丸百貨店(京都)
1971「第10回現代日本美術展「人間と自然」」東京都美術館(東京)
1971「第4回現代日本彫刻展」 宇部市野外彫刻美術館(山口)
1971「第4回現代の造形<映像表現'71>」京都新聞ホール(京都)
1971「すっかりだめな僕たち展」京都市美術館、京都書院ホール(京都)
1972「京都ビエンナーレ」京都市美術館(京都)('73,'76
1972「映像による企画」京都大学西武講堂、京都書院\(京都)
1972「10年目のギャラリー16」ギャラリー16(京都)
1972「美術は展覧会 活躍する僕たち展」京都市美術館、京都書院ホール(京都)
1972「第1回現代日本グラフィック・アート展」 I.C.A(ロンドン,イギリス)西武百貨店渋谷店(東京)
1972「今日の作家'72年展」(第8回今日の作家展)横浜市民ギャラリー(神奈川)
1973「<実務>と<実務>12人展」 ピナール画廊(東京)
1973「第8回パリ青年ビエンナーレ」パリ市立近代美術館(パリ,フランス)
1974「日本-伝統と現代」デュッセルドルフ市立美術館(デュッセルドルフ,ドイツ)
1974「ALL OVER & OVER ALL 又は回顧展」ギャラリー16(京都)
1975「アサヒアートナウ」兵庫県立近代美術館(兵庫)
1976「コラージュとフロッタージュ」ギャラリー16(京都)
1977「絵画の豊かさ」(第13回今日の作家展)横浜市民ギャラリー(神奈川)
1981「日本現代美術展 70年代日本の美術の動向」韓国文化藝術振興院美術館(ソウル)
1981「FINAL ’81」ギャラリー16(京都)
1983「日本現代美術展5人の日本現代作家達」 デュッセルドルフ市立美術館(ドイツ)
1984「現代美術の20年」群馬県立近代美術館(群馬)
1984「東京画廊ヒューマン・ドキュメンツ」 東京画廊(東京)('85)
1991「BACK AND FORTH-5" 70年代からの航跡"」ギャラリー16(京都)
1994「平安建都1200年記念展<京を創る>」 京都市役所(京都)
1994「関西の美術1950's~1970's」 兵庫県立近代美術館(兵庫)
1995「1970: 物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」岐阜県美術館(巡回:広島市現代美術館/北九州市立美術館/サンテティエンヌ近代美術館、フランス)
1997「MURAMATSUⅡ 狗巻賢二・坂口寛敏・村上善雄」 村松画廊(東京)
2004「痕跡: 戦後美術における身体と思考」京都国立近代美術館(巡回:東京国立近代美術館)
2005「開館10周年記念 東京府美術館の時代1926-1970」東京都現代美術館
2005「第21回現代日本彫刻展 2005」 宇部市野外彫刻美術館(山口)
2005「もの派-再考」国立国際美術館(大阪)
2009「第23回宇部ビエンナーレ(現代日本彫刻展)」宇部市野外彫刻美術(山口)
2012「言葉と美術が繋ぐもの-中原佑介へのオマージュ」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2014「Special Show: 河口龍夫/ 狗巻賢二」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2014「もの派 vs. Support Surface」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2014「1974:戦後日本美術の転換点 第2部」群馬県立近代美術館
2016「時代をこえて」ギャラリー16(京都)
2016「ペーパーワーク展」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2018「戦後の日本美術展」ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2018「Collection / galerie16 狗巻賢二・北辻良央・文 承根」ギャラリー16(京都)
2020「CADAN:現代美術」寺田倉庫B&Cホール ギャラリーヤマキファインアートブース(東京)
2020台北Dangdai Art & Ideas:ギャラリーヤマキファインアートブース(台湾)
2021「Art Collaboration Kyoto (ACK):ギャラリーヤマキファインアートブース」国立京都国際会館イベントホール(京都)
2021「狗巻賢二、中原浩大、毛利武士郎 – 村松画廊コレクションより」Satoko Oe Contemporary(東京)
2021「2021年度 第I期 コレクション展」豊田市美術館(愛知)
2021「Metamorphosis and Evolution 変容と進化」emmy art +(東京)
2022「Art Collaboration Kyoto (ACK):ギャラリーヤマキファインアートブース」国立京都国際会館イベントホール(京都)
2022「Study:大阪・関西国際芸術祭 / アートフェア 2022」グランフロント大阪 北館1F ナレッジプラザ、ギャラリーヤマキファインアートブース(大阪)
2022「森の色」展 ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2023「枠と波」豊田市美術館(愛知)
2023コレクション展「概念‐もの‐環境」展 ギャラリーヤマキファインアート(神戸)
2024狗巻賢二×柴田精一「縄文線のような」-狗巻賢二オマージュ- 展 ギャラリーヤマキファインアート(神戸)

【受賞歴】
2009毎日新聞社賞を受賞
2006第25回 今立現代美術紙展'06 K氏賞   越前市いまだて芸術館
【作者情報】
狗巻賢二

会期2019年05月03日(金) - 2019年06月15日(土) 休廊日 : 日・月曜日
開廊時間11:00 - 13:00 / 14:00 - 19:00  [最終日は17:00まで]
会場ギャラリーヤマキファインアート
所在地〒 650-0022 神戸市中央区元町通 3-9-5-2F
問合せTEL: 078-391-1666  FAX : 078-391-1667  MAIL: info@gyfa.co.jp
アクセスJR ・阪神 元町駅 西口より徒歩 1 分
料金無料