作家情報

ジャン・ル・ギャック

ジャン・ル・ギャック

1936年南仏生まれのル・ギャックは、はじめ伝統的な絵画表現を志しながらも、60年代の終わりごろから絵画や写真、文章を組み合わせた作品を発表。それらの作品はヨーロッパを中心に注目を集め、1972年には「ヴェネツィア・ビエンナーレ(フランス館)」(ヴェネツィア・イタリア)や、「ドクメンタⅤ」(カッセル、ドイツ)での“個人的神話”をテーマとしたセクションに選出されました。そこで出品されたのはル・ギャックの出発点である、画家についての架空のドキュメンタリーを小冊子に写真と文章で構成した作品で、この時代に問われた“絵画”について独自の方法を模索しました。

ル・ギャックは画家自身の家族や家族が揃って過ごすヴァカンスの状況を設定し、プライベートを描いた絵画や撮影した写真に、虚構の文章を付け加えていきました。彼は、“絵画”を制作する画家という伝統的な意味での画家像が過去のものとなった時代において、“画家”のフィクションを提示することで、絵画とは何か、画家とは何か、を問い直そうと試みています。そのフィクションは、彼が好んだアラン・ロブ=グリエやホルヘ・ルイス・ボルヘスなど、実験的でミステリアスな文学の影響を受けています。ル・ギャックによって与えられた絵画や写真、文章を手がかりに、観客は自ら推理しながら物語を構築してゆくことを求められます。しかしそれらの手がかりは真実らしく見せかけた虚構であり、一見ル・ギャックの自伝的な物語と思わせつつ、実は架空の画家像を観客の中で作り上げます。

これらのル・ギャックの表現方法を同時代のなかで回顧してみれば、コンセプチュアルアートの動向と呼応するものであると位置づけられるでしょう。またフランス国内に目を向けてみればクリスチャン・ボルタンスキーやアネット・メサジェ、ソフィ・カルらと比較し語られるべき作品でもあるでしょう。日本国内ではなかなか紹介される機会に恵まれていませんが、それらの作品はポンピドゥー・センター(パリ、フランス)、ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界の主要現代美術館に収蔵されています。

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作品情報

  • 作品名
    Comment ça va(お元気ですか)
    サイズ
    76cm×56cm    
    制作年
    1999
    技法・素材
    シルクスクリーン(BFK Rivoli)
  • 作品名
    Prisonnière des Pyramides(ピラミッドの捕虜)
    サイズ
    70cm×38cm
    技法・素材
    (English) silkscreen, colored photo
  • 作品名
    By Jove(おやまあ)
    サイズ
    33cm×25cm 
    制作年
    1992
    技法・素材
    (English) copperplate print (pointe sèche, eau-forte)  
  • 作品名
    Comment ça va(お元気ですか)
    サイズ
    76cm×56cm    
    制作年
    1999
    技法・素材
    シルクスクリーン(BFK Rivoli)
  • 作品名
    Prisonnière des Pyramides(ピラミッドの捕虜)
    サイズ
    70cm×38cm
    技法・素材
    (English) silkscreen, colored photo
  • 作品名
    By Jove(おやまあ)
    サイズ
    33cm×25cm 
    制作年
    1992
    技法・素材
    (English) copperplate print (pointe sèche, eau-forte)  

作者経歴

1936
フランス タマリスに生まれる
1972
ヴェネツィア・ビエンナーレ フランスパビリオンに出品
ドクメンタ Vに出品
1976
ヴェネツィア・ビエンナーレ メインパビリオンに出品
1977
ドクメンタ VIに出品
1980
ヴェネツィア・ビエンナーレ メインパビリオンに出品