芝高康造(しばたかこうぞう)は1948 年大阪市生まれ。1968 年に武蔵野美術短期大学を卒業し、1978年から関西を主な発表の場として、今日まで銅版画を主とする多様な表現を展開してきました。芝高は 1982 年の「アートナウ ’82 」(兵庫県立近代美術館)に選出されたことを皮切りに、数々の発表の舞台を獲得。国際的な版画展にも多数出品するなど、版画表現においてその独自性が高く評価されています。近年は本をテーマに制作するブックアート、インスタレーションなどにも積極的に取り組み、これからの展開にも期待が高まっている作家です。
芝高作品の大きな魅力の一つである線は、ときに「無垢な線」「精緻な線」と呼称されるほど、余分なものが一切なく、観るものに独自の緊張感と無限のリズムを感じさせます。 その線の表現の礎を築いたとも言える70年代の作品では、オートマティックさを感じさせる鉛筆の鋭い線と、直線の重なりだけで複雑な空間の奥行を提示した銅版画から、制作に伴った作家の熱量と行為の跡が今もなお瑞々しく感じられます。そして、パステルの淡い色合いとそれを消し取ることによって紙という物質の上に、おぼろげながら確かな空気を吹き込んだ80年代の作品へと変貌を遂げる様相が、当時から続く芝高の高い技術と豊かな美意識を今に伝えます。
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作者経歴
1948
大阪市に生まれる
1968
武蔵野美術短期大学卒業
2000
「芝高康造展―銅版画―」GALLERY mai(東京)
1976
『漂流物 epaves 1』(林グラフィックプレス刊)所収のM.ブランショ著・田中淳一訳「白日の狂気」に銅版画を挿入
主な個展
1972
個展 シロタ画廊(東京)
1975
「芝高康造個展」村松画廊(東京)
1978
「芝高康造展」平安画廊(京都)
1979
「芝高康造展」信濃橋画廊エプロン(大阪)
1981
「芝高康造展」galerie16(京都)
1990
「芝高康造個展―銅版画・素描―」gallery coco(京都)
1994
「芝高康造展―銅版画―」ART BOX(大阪)
1994
「芝高康造展」ESPACE446(大阪)
1994
「芝高康造展」BASE GALLERY(東京)
1996
「芝高康造展」ベル書店2Fギャラリー
2001
「芝高康造 銅版画展」恰(アタカ)美術館(徳島)
2005
「芝高康造展」Gallery Den(大阪)
2005
「芝高康造展 掌」ギャラリーR・P(大阪)
2006
「芝高康造展 痕」シェ・ドゥ-ヴル(大阪)
2008
「芝高康造展 ボッティチェリをほる」信濃橋画廊5(大阪)
2009
「芝高康造展 散華」ウーニーポンポンカウカウ(大阪)
2010
「芝高康造展 ボッティチェリ逍遥―『ヴィーナスの誕生』による直彫銅版画―」ニキロワット58(大阪)
2011
「芝高康造展 五月蝿なす―ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』による直彫銅板画―」2kw58(大阪)
2012
「芝高康造展 祭り・群踊」天野画廊(大阪)
2012
「芝高康造 銅版画展」芦屋画廊(兵庫)
2013
「芝高康造展 地・千日前」GALLERY Ami-Kanoko(大阪)
2013
「芝高康造展 ナギサ」天野画廊(大阪)
2015
「芝高康造展 New Works」Gallery Yamaki Fine Art
2018
「ボッティチェリによる銅版画 芝高康造 個展」芦屋画廊kyoto
2024
「芝高康造 銅版画展―漂流ー」藤影堂(奈良)
主なグループ展
1978
「知性と秩序:八人の造型展」信濃橋画廊(大阪)
1980
「北野正治・黒川博・芝高康造・森田耕太郎 4人展」信濃橋画廊(大阪)
1982
「アート・ナウ ’82」兵庫県立近代美術館(兵庫)
1987
「第17回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ」(ユーゴスラビア)
1988
「第12回クラフク国際版画ビエンナーレ」(ポーランド)
1991
「クラクフ国際版画トリエンナーレ’91」(ポーランド)
1992
「いま絵画は―OSAKA ’92」大阪府立現代美術センター(大阪)
1992
「Perspectives from Japan: Nine Printmakers」Extension Gallery(トロント、カナダ)
1997
「10 From Osaka Art」、54 Gallery(ニューヨーク、アメリカ)
1997
「地のアルチザン・6人のかたち」ESPACE446(大阪)
1998
「HANGA-New Direction in Japanese Printing」、Graphic Studio Gallery(ダブリン、アイルランド)
2002
「JAPANESE CONTEMPORARY ART Exhibition」土日基金文化センター(アンカラ、トルコ)
2004
「gallerism2004」大阪府立現代美術センター(大阪)
2005
「人+己+口 展」耕仁美術館(ソウル、韓国)
2008
「International Book Art Exhibition in cheong-Ju」韓国工芸館(清洲、韓国)
2009
「地の波」GALLERY いろはに(大阪)
2010
「Book Art 2008 Japan-Korea」Gallery Jinsun(ソウル、韓国)、クンストバウ(東京)、ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)
2010
「乾・坤」芦屋画廊(兵庫)
2013
「芝高良美 陶器 芝高康造 銅版画」シェ・ドゥ-ヴル(大阪)
2014
「Book Art 20013-14 Japan-Korea/ 本の分裂―棚と机―」中之島デザインミュージアム(大阪)