1944年愛媛県宇和島市生まれ。1966年多摩美術大学彫刻科に入学し、在学中にのちに「もの派」の中核を共に担う成田克彦、関根伸夫、吉田克朗と出会う。大学紛争下には、学外の自主ゼミで斎藤義重、高松次郎に学んだ。当時の日本の彫刻界は、いまだに伝統的な西洋彫刻の規範から脱していなかったが、1968年「もの派」の端緒となった関根伸夫《位相/大地》の制作に立ち会ったことをきっかけに、小清水は空間やヴォリュームといった従来の彫刻の概念を超えた創作を志すようになった。創作という行為そのものを反省的に問いつづけるなかで、自身を取り巻く環境に目を向けるようになった小清水は、木や石、紙、土、鉄など、東洋人が慣れ親しんできた素材に着目。わずかな加工や組み合わせによって、物質そのものの存在やはたらき、さらには人間との関係性に新鮮な視点をもたらす作品は、日本の彫刻界に転換をもたらしたとして高く評価されている。また、1978年から京都市立芸術大学で教師を務め多くの後進を輩出し、退官後の現在も関西を拠点に旺盛な創作を行うなど、半世紀にわたって美術界を牽引しつづけている。
これまでの主な個展に、「小清水漸展」(国立国際美術館、1987年)、「小清水漸展 : 彫刻・現代・風土」(岐阜県立美術館・愛媛県立美術館、1992年)、「小清水漸―木の 石の 水の 色―」(町立久万美術館、2005年)、「Susumu Koshimizu」(Blum & Poe、2013年)、「小清水漸 階の庭」(ギャラリーヤマキファインアート、2015年)がある。また、主なグループ展には、「第10回日本国際美術展 人間と物質」(東京都美術館・京都市美術館・愛知県美術館、1970年)、「現代美術の一断面」(東京国立近代美術館1970年)、「第7回パリ青年ビエンナーレ」(パルク・フローラル、1973年)、「第37回ヴェネツィア・ビエンナーレ(企画部門)」(イタリア1976年)、「第39回ヴェネツィア・ビエンナーレ(日本館)」(イタリア1980年)、「もの派とポストもの派の展開」(西武美術館、1987年)、「小清水漸・栗本夏樹展」(西宮大谷記念美術館、1994年)、「1970年-物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」(埼玉県立近代美術館、1995年)、「もの派-再考」(国立国際美術館、2005年)、「Requiem for the Sun: The Art of Mono-ha」(Blum & Poe、2012年)がある。
作品は、テート・モダン、ダラス美術館、国立国際美術館、東京国立近代美術館、東京都美術館、新潟県立近代美術館、水戸芸術館、岐阜市美術課、千葉市美術館、株式会社資生堂、京都市美術館、和歌山県立近代美術館、三重県立美術館、兵庫県立美術館、高松市美術館、豊田市美術館、原美術館、名古屋市美術館、広島市現代美術館、宇部ときわミュージアム、など、国内外の幾多の美術館に収蔵されている。1999年京都府文化賞功労賞、2004年紫綬褒章など受賞多数。
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