ギャラリーヤマキファインアートではこのたび、若手アーティストを紹介する企画第1弾として、岸田久弥、森本絵利、中村成秀による『ABSTRACTION‐絵画の可能性‐展』を開催いたします。
彼らにとって絵画制作は、それぞれの「現実」に迫るための方法です。それは単純に目の前の対象を描き写すという古典的な絵画制作ではなく、現代に氾濫する多様な価値観やタブーを消化しながら、現実に対する眼差しを内在化させる行為です。個別の空間や時間、さらには個人的な事象をテーマとしながらも、しかし決して独りよがりでない絵画の可能性と表現の広がりを感じさせてくれます。彼らは自己のエネルギーを、絵画という他者との対話が行われる場に注ぎ続けています。
次世代作家の未来の可能性を感じさせる若手3名の作品を、是非この機会にご高覧ください。
岸田久弥は、日本とニューヨークを拠点に活動する現代美術作家。京都市在住。関西大学でグローバリゼーションや環境問題など実社会問題に触れ、自身の美術表現底上げのため社会構造を学ぶ。2013年単身渡米し、2017年ブルックリン大学で美術学学士を取得。同年同大学で行なわれたCharles G. Shaw 美術部門でアワードを獲得。2021年にニューヨーク市立大学大学院美術学修士課程を修了。透視法を再文脈化しながら、生命のダイナミズムと生物多様性をアイコニックな形態で描き出す作品は、19世紀後半「自然」という概念が西洋から日本へ伝わる以前の、日本古来の哲学をベースに展開しています。シュルレアリズムの芸術言語に影響を受けた岸田の表現は、生命活動が生み出す目に見えないエネルギーの存在を可視化し、自然環境に対する既成的視点の転換を促すことで、自然界だけでなく人類間にも存在する階層構造を再考するものです。すべての構成要素が支え合い繋がる世界を絵画平面上に構築しながら、作家自身「共生・共存」を探求し、現代社会を見つめ直す試みを続けています。
森本絵利は1978年大阪府生まれ、2001年に京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業、2003年に同大学大学院美術研究科絵画専攻油画を修了。これまで、微細に断裁した紙を透明のビンに入れた作品や、その紙を細かくしていく過程を撮影した映像作品を制作。また無数の点で描いていくペインティングなどを手がけ、自己の規則性を確立しながら抽象概念を表現しています。濡れた砂、雨の後の匂いなどという、匂い感覚や空気の振動など見えないが、存在する美しさを見出そうとし、純粋なリアリティの表現を探求しています。
中村成秀は1971年生まれ、1998年京都精華大学美術学部造形学科洋画分野卒業 。初期活動はテンペラによる具象絵画の作品を制作していましたが、近年は、ダイナミックな荒いタッチで表現しています。対象物と対峙しながら執拗な観察力で物事を細心に分別し、風景を構造的に見せています。彼は身体性への問いかけ、つまりは認知主体と外部環境の間に立つ機構;自らと世界が繋がっている実感を真摯に追及する表現をしています。
《関連イベント》
本展出品作家によるトークイベントを開催いたします。司会進行にアートライターの小吹隆文氏をお迎えして、それぞれの作品の見所や、制作背景などお話を伺います。尚、本イベントは要予約となりますので下記までお申し込みください。定員になり次第締め切らせていただきますことあらかじめご了承くださいませ。
日時:2023年9月23日(土・祝)16:00より90分程度
作家:岸田久弥 森本絵利 中村成秀
司会:アートライター 小吹隆文
場所:ギャラリーヤマキファインアート
入場:無料
定員:30名(予約制)
<予約申込先及びご記載内容>
メール:info@gyfa.co.jp 電話:078-391-1666
件名:「9月23日トークイベント申込」
内容:お名前、人数、ご連絡先(メールアドレス、携帯番号)
岸田 久弥
森本絵利
中村 成秀
会期2023年09月07日(木) - 2023年10月07日(土) 休廊日:日・月・火曜日
開廊時間11:00 - 13:00 / 14:00 - 18:00
会場ギャラリーヤマキファインアート
所在地〒 650-0022 神戸市中央区元町通 3-9-5-2F
問合せTEL: 078-391-1666 FAX : 078-391-1667 MAIL: info@gyfa.co.jp
アクセスJR ・阪神 元町駅 西口より徒歩 1 分
料金無料